旅のコラム (1)

日本のバリアフリーはまだまだ、という意見もありますが、5年前、10年前、20年前・・と比べれば、その差は歴然! ご高齢であっても、障がいがあっても、ベビーカーでも、ひと昔前に比べれば随分と旅行しやすくなってきているように感じます。
旅行しづらい方のサポートをする旅行会社やNPO法人、ボランティア団体なども増えています。もちろん、そのようなサービスを利用せずとも、ご自分で、ご家族で、ご友人だけで普通に旅行される方もいらっしゃって、「日本もユニバーサルな世界へ!」と、リードしてくださっています!
でも、「旅行できる」ことを知らない、もしくは、旅行する為には「何らかのサポートが必要」な方がいらっしゃるのも現状です。
わたしたちは、そんな方々に「また旅行できる」ことを知っていただき、その方に合った必要なサポートができる会社でありたいと願っています。
ユニバーサルな世界に向かって、前を向いてリードする・牽引する、というよりは、後ろから支える・背中をそっと押してさしあげる、そんな役割を担っていけたらいいなぁと思います。

これから少しずつ、当ページで旅のコラムを発信していきたいと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

画像の説明



旅のコラム(2)

私たちがお客さまと旅をご一緒していると、驚くようなことが時折あります。
例えば、あまりご興味はないかなぁ・・と思うような、お台場などにある若者向けのショップや観覧車、そしてディズニーランドもそう、実際にご一緒すると、すごく楽しんでいらっしゃいます。お食事にしても、少し多いかな~という量でもぺろりとお召し上がりになったり、ソフトクリームやアイスキャンディーもぺろり♪
ご旅行の帰り道は、少しお疲れになったかなぁ・・とこちらが心配するまもなく、おしゃべりやお買い物をしながら、終始お元気でご帰着されます。
先日、ご旅行のご予約をいただいた後にご入院されたH様は、ご入院中も「なんとしてでも旅行に行きたい!」とリハビリに励みました。当初の日程より1週間だけ延期にはなったものの、見事ご退院されてご旅行を実現されました。
周りの方に少し心配されながらも、でも意外と、ご本人の「できること」や「意志」、「嗜好」というのは周りの方の想像を超えたところにあるのかもしれませんね。
そして、それを発揮しやすい手段のひとつが「旅行」なのかもしれません。
可能性がひろがりますね。

画像の説明



旅のコラム(3)

秋の味覚・松茸とすっぽんを味わい尽くす3日間の旅。
先日、お手伝いさせていただいたお客様のお話です。

車いすご利用のお父様は、93歳。
お母様曰く、普段はあまり歩きたがらないそうですが、
松茸の為なら、すっぽんの為なら、頑張れる❗️
と、玄関で靴を脱ぎ、段差を超えて、廊下を歩いてお席につくような、
歴史ある日本家屋の名店で、お食事することを望んでいらっしゃいます。

車いすをご利用になる以前にも、何度もその名店には行ったことがあるので、
当然、店内は車いすのまま入れる造りではない、ということはお客様がよくご存知でした。

でも、それはそれは美味しいスッポンなのだそうです。
というわけで、店内の状況をご承知の上で、
美味しいすっぽんをいただくことになりました。

奥様の他に、娘さんがお二人、付き添われることになりました。
ホテルには、力持ちで心強いサポーター 介護タクシーの男性乗務員さんも
迎えに来てくれました。

目的のお店に到着。
お父様は、娘さんと介護タクシーの乗務員さんに付き添われながら
無事、店内のテーブル席まで移動。

移動は大変だったけど、
「やっぱりここのすっぽんは、本当に美味しい!」と満面の笑み。

美味しいものを求めて、滋賀県の大津市にも足を延ばしました。
各名店で松茸やすっぽん、子持ち鮎など美味しいお料理をたくさんお召し上がりになり、
観光はいっさい無し!

とてもシンプルで
目的がはっきりしたご旅行。

車いすを利用するようになったからといって、
今まで行っていたお店に行けない、っていう訳ではないんですよね^^

いろんな手段を検討してでもご本人が、行きたいか、食べたいか。
その先の満足を味わいたいか^^

逆に、
そんな大変な思いをしてまで行きたくないよ^^;
車いすでそのまま入れるお店がやっぱり安心できていいよ!
というお客さまも、もちろんいらっしゃいます。

人それぞれ。

今回のように、付添スタッフなしで旅行手配のみのお手伝いの場合は、
わたしたちは、新幹線やお宿等の基本的な予約をはじめ、ご要望いただいたお店の状況を確認したり、
場合によっては交渉したり、ご本人、ご家族だけでは難しいところを補足、お手伝いさせていただきます。

ご旅行から無事に戻られた娘さんからのご報告メールには・・
お父様の満足そうな笑顔が目に浮かぶような内容がたくさん綴られていて、
こちらまでニンマリ^^ 嬉しくなりました♪

○○したい!っていう気持ちに、正直でいたいものですね。

画像の説明



旅のコラム (4)

先日、お孫さんの結婚式にご参列予定のF様のサポートをさせていただくため、
新郎新婦様と準備を進めていたときのこと。

お式の数日前、
お婿さんが打ち明けてくださいました。

「実はこの前、おばあちゃんとこに(介護施設に)嫁さんが行ったら、
その時のおばあちゃん、認知症の症状が前より進んでたらしくて・・
嫁さん、ショックだったみたいで💦」

「結婚式に来てもらいたい!って思って準備してきたけど、
誰の結婚式に出てるのか、今、自分が(おばあちゃん本人が)どこに来てるのか
分からないんだったら、招待しても・・どうなのかなぁって。」

でも、ここまで準備してきたし、
やっぱりおばあちゃんを呼びたい!とのことで決心したものの、
新郎新婦様としては、少しの不安を抱えながら結婚式当日を迎えました。

ところが当日、そんな新郎新婦様の不安をよそにF様は、
お式・披露宴の間中シャキッ!として、華やかな笑顔で😊

お話も上手で、付き添いスタッフにもたくさんのお話を聞かせてくれて😆
お祝いのお料理も美味しくいただきました✨

お孫さんである新郎新婦様も、とても喜んでいらっしゃいました。
幸せいっぱいの時間です。

認知症に限らず、
◯◯だから◯◯できない、ってなるべくなら決めつけたくはないですね。

画像の説明



旅のコラム (5)

約1年前に脳梗塞で倒れられて以来、久しぶりのご旅行となったY様。

ご旅行の打合せの時から、Y様は娘さんに
「旅行にはあれ、家にある黒の上着を羽織っていこうか♪
 靴はどれにするかな・・」などなど、楽しい準備が始まっていました^^

温泉旅行当日、お昼は楽しみにしていたバイキング♪
〆のスイーツまで美味しく頂きました。

浴用の車いすのまま入れる温泉では、付き添いスタッフと一緒に
身体の芯までポカポカ温まりました。

午後からは、いちご狩りも体験して、
摘みたていちごを、お土産にもたくさん持ち帰りました^^♪

ご夕食は、お寿司屋さんで大好きな巻き寿司を。

施設を出発して9時間。
日帰りではありましたが、たっぷりと1日楽しまれました。

介護施設に帰り着く頃、福祉タクシーの車内でY様がしみじみとおっしゃいました。

施設でいつものように過ごす1日と、
温泉旅行に出かける1日と、

同じ1日とは思えないね。
本当に楽しかった^^ と。

(介護施設の存在もとても大事だと承知したうえで、誤解を恐れずに言わせていただくと・・)

時間はたしかに誰にでも平等に与えられますが、
時間の質は、変えられるのですね。

画像の説明



旅のコラム (6)

お客さまと北海道へご一緒させていただいた時のことです。

帰着日の深夜、北海道胆振東部地震が起きました。

その日チェックアウト予定だった宿泊ホテルも、地震の影響で停電・断水してしまいました。

搭乗予定だった復路便は欠航し、新千歳空港も閉鎖を余儀なくされたので北海道に延泊することになりました。

お宿は、心当たりのバリアフリーペンションが運よく空室があったので、
そちらで延泊させていただくことになりました。

とても家庭的な素敵なお宿で、オーナーご夫妻も温かく迎え入れてくださったので、宿泊についてはひとまず安心です。オーナーさんがランタン等でお部屋を照らしてくださったおかげで、お夕食も皆さんでいただくことができました。

しかしながら、道内全域での停電や、断水・電波障害などが続いた為、
ガソリンスタンドやスーパー、コンビニには長蛇の列でした。

お客さまとご旅行していると、こういう時には、予備で持ってきていたとしても、お薬や衣類・オムツ関係なども足りなくなってきてしまいます。

◎お薬は、近くの病院で診察・処方箋を出していただき薬局で同じお薬(または効用が同じお薬)を出していただきます。

このような場合には、かかりつけの病院から普段処方していただいている内容をFAXしていただくのが確実です。

◎衣類は、大手スーパー等は長蛇の列でしたが、ダイソー等の100円均一のお店は意外と空いていたので、取り急ぎの靴下やその他の衣類を購入することはできました。

◎オムツに関しては、200人・300人の列に並んで購入するのも一つですが、体力・気力とも消耗しますので、近隣の介護施設等を訪ねて(薬局などが再開するまでの間をしのげるくらいの)少量を分けていただくのも、一つの手段だと感じました。

入手した限られた数のオムツは、外側やパッドの種類など揃っていませんので、場合によってはハサミで切る等してパッドの代用品を自分で作ったりする必要があります。

(後日、薬局が再開して新しくオムツを購入できたら、困ったときに分けていただいた介護施設へお礼を言ってお返しすると良いですね。)

自然災害が年々増えていますので、旅先での対応や備えも日頃から考えておきたいものです。

画像の説明